剣道の勝ち負けについて

保護者、指導者

大人の価値観が、子供に影響を与える

子供たちが剣道をしていると、指導者の立場や保護者の立場などいずれの立場にしても試合に勝って欲しいと思ってしまいます。

その思い自体は悪くない思いです。それに子供たちは本来、競い合うことが好きなので大いに競い合わせて心身を鍛えるべきだと思います。

しかし、大人が「試合での勝ち」にしか価値を見出せない「勝利至上主義」に陥ってしまうことは問題だと思います。

稽古を積めば、ある程度試合に勝てるようになるでしょう。それでも全員が優勝することは出来ません。子供がどんなに頑張っても勝利至上主義の価値観の大人達に囲まれた子供達は、勝たなければ認めてもらえません。

そんな環境で育った子が成長してくると、「自分は価値が低い」と思いこんだり、自分より下と思う人間をばかにするといった人間になるでしょう。

「相対評価」を軸に生きていくことは、誰も幸せになりません。

常に周りより上を目指し、自分が追い抜かれることを恐れていかないといけないからです。

大人が持っている価値観は、そのまま子供に伝わります。

試合に勝ったら褒める、試合に負けたら叱るという価値観を僕たち大人がもう一度考えるべきかなと思います。

「負けない」ことの素晴らしさ

ここでは「負けない」という価値観について書いてみようと思います。

ここでいう負けないは、「自分」に負けないことです。

朝もう少し寝たい

今日は稽古に行きたくない

つらいけど成長できる選択肢と簡単だけど成長できない選択肢で、つらい方を選んだ

みなさんの今は、沢山の「あの時自分に負けなかった」から出来ています。

いくら何度も優勝した選手でも大人になってから、自分に負けてしまい社会的な成功が出来ない人は少なくありません。

社会人として「自制」、つまり自分の欲求をコントロールすることは実はとても重要なスキルなのです。

我慢とは少し違います。

大人になって自分が置かれた環境があまりにも悪い環境にも関わらず、我慢し続けるのは「環境を変えるのは大変だからこのままでいいや」という自分に負けて、思考停止になっているだけです。

自分を傷つける環境から全力で逃げ出すことも負けないことだと思います。

また「自分に負けない」ことは絶対評価なので、周りと比べる必要はありません。

相対評価だと常に相手に勝つことを考え、勝っても抜かれることに怯えなければなりません。そうすると相手に厳しく当たったり、見下したりする行動になりがちです。

しかし絶対評価だと相手に怯える必要がないため、余裕を持って優しく振る舞えるようになります。

先ずは僕たちの価値観を変えてみよう

お気づきだと思いますが、「負けない」という価値観になるのに何か特別な修行は必要ありません。

ただ相対評価よりも絶対評価の方が大事だなと本心で思うだけです。

人間は価値観をもとに行動しています。

そして他人の価値観を変えることは出来ません。

価値観は自分自身の経験から自然と自分自身がこっちのほうが価値が高いと選び取るからです。

つまり自分の意思で価値観を決めることが出来るのです。

あなたのお子さんや、あなたの指導する子供たちにとって大人が口先だけで言うセリフよりも、あなた自身の価値観の方が子供たちに影響を与えます。

そう考えると教育にとってあなたの価値観がいかに重要か伝わったと思います。

子供の成果を変えたいと思ったら、先ず変えるべきは、自分の価値観なのです。

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