今の時代に合った小学生の剣道指導を考えてみよう

保護者、指導者

その教え方は、これからの時代に合っている?

剣道に限らず武道は「礼に始まり、礼に終わる」といわれるように、礼儀を重んじていて、その根底には人間の精神レベルを高めて、社会に貢献する人になろうという考え方があります。

まさにご両親が子供に武道を習わせたいと思う気持ちもそこにあるのではないでしょうか。

しかし親の期待通りの指導方針ではない道場が多いのではないでしょうか。

みんなと違う行動を絶対に認めない。

試合に勝つ事が一番の価値観。

そんな道場が多いように思います。

昔の日本であるなら、その教育方針で育ち、いい大学に進学し、大企業に就職して失敗の少ない幸せな人生を送れたのでしょう。

しかし現代は、AIなどの技術革新により今まで人類が経験したことが無いほどの変革期を迎えています。

将来何が起こるか分からない不確実な時代です。

そんな不確実な時代だからこそ子供の教育に対する価値観を変え、一人一人の個性を伸ばし、他者を尊重出来る人間を育てていく必要があります。

指導者や親が、剣道の本質を間違えずに教育出来れば、現代の子供達にとって、剣道ほど素晴らしい習い事はないと僕は確信しています。

小学生1〜3年生

まずは子供について知りましょう。

小学生の間に発達するのは「神経回路」です。

つまり脳が体に指令を出す回路の事です。

ちなみに中学生では「心肺機能」であるスタミナが、高校生では「筋力」であるパワーが発達します。

小学生の間に色々な運動をする事で、様々な神経回路を作る事で俗に言う「運動神経が良い」子に育ちます。

神経系の発達は、5歳から9歳までの間を「プレ・ゴールデンエイジ期」と呼びます。

また低学年は、集中力が続かない事も特徴です。

これは、多種多様な動きをする事で、様々な神経回路を作ろうという本能があるからです。

うちの子はすぐ飽きる、集中力がないと嘆くことはないのです。

小学生4〜6年生

10歳から12歳までの神経系の発達期間を「ゴールデンエイジ期」と呼びます。

神経系の発達は12歳までに100%発達しますので、12歳までに覚えた動きは大人になっても体が覚えています。

またこの時期は「即座の習得」が出来る素晴らしい時期で、動きをみたらすぐに再現出来る時期でもあります。

この時期に即座の習得が出来るためには低学年から運動によって神経回路を作っておかなくてはいけません。

保護者が出来ること

小学生の間は、神経系が発達する時期です。

逆に言えば小学生の間に神経系を発達させなければ手遅れになります。

勉強も大切ですが、たまには家族で大自然に触れる事をおすすめします。

海や川で遊ぶのもいいですし、最近だと森を利用したアドベンチャー施設も人気です。

低学年の間は、色々な事に興味を持ちますし、飽きやすい特徴があります。そういうものだと知っているのと知らないのとではお子さんに接する態度も変わってきます。

他の子と比べて我が子が出来ない事を叱るのではなく、もし子供が剣道以外に興味を持てば他のことをやらせてみるのも良いのではないでしょうか。

剣道は生涯競技ですので、いつ再開しても大丈夫です。剣道は懐が深い競技ですので。

もしくは、親も一緒になって剣道をやってみるのもいいでしょう。

本格的にやらなくても、子供に素振りを習ったり、子供の打ち込みの練習台になったりと親が剣道に興味を持てば子供のやる気は断然アップします。

次に小学校高学年は、「即座の習得」が出来る年齢です。

錬成会や試合などで、レベルの高い選手の動きを見ると急激にレベルアップする子も出てきます。

お子さんが剣道強くなりたい意思があれば、積極的に錬成会や試合に参加させてみて下さい。

子供が低学年であろうが、高学年であろうが、親として大切な事は、子供が安心できる環境を整えることです。

出来ない事を叱るのではなく、子供をよく観察して成長した事を認めてあげる発言に徹しましょう。

子供は常に親がいるという安心感がベースとなって新たなチャレンジをします。

決して子供が出来ない事ばかりを指摘する親にならないように気をつけて、子供が自分自身で成長するものだと信じましょう。

大人は、失敗こそが成功の糧だと本当は知っているはずなのに、我が子の事となると失敗を避けて最短ルートを通らせようとする心理になるものです。

大人になってからの失敗は立ち直れない場合もあります。是非子供のうちに様々なチャレンジと失敗を経験させる環境を親が作ってあげて下さい。

指導者が出来ること

指導者が一番にやるべきことは、古い価値観を変えることだと思います。

冒頭にも書きましたが、時代が確実に変わっています。僕たちが過去に教わった方法だけでは、剣道の本質は受け継がれていかないと思います。

僕もそうですが、教え子が試合で勝つと自分の承認欲求が満たされます。だんだん強くなると、どんどん上を目指したくなりますが、一度自分の胸に手を当ててみて「それは、自分が認められたいだけじゃない?」かどうか確認してみましょう。

一番大切な事は子供達が剣道を好きになり、立派に成長することです。

その為には指導方法は時代に合わせて変えていくべきです。

誤解のないように補足させていただきますが、剣道では型にはめるべき大切な事もあります。

「礼儀作法」や「剣道形」、「切り返し」などの基本は、変えることなく型にはめて指導しています。

それを踏まえて、低学年に対しては様々な新しい動作をさせる稽古もいいのではないでしょうか。

基本が出来るまで同じ事の繰り返しだと低学年は飽きてしまいます。

悪い癖がつかないように工夫しながら、様々な神経回路を構築するために、遊び要素も含めて色々な稽古方法を取り入れてみてはいかがでしょう。

遊び要素も含めた稽古だと、保護者の指導でも可能な時間帯ができて、その時間帯は高学年の指導に力を入れたりと指導者不足にも対応出来ると思います。

今までの考え方ですと、基本が大切だから低学年のうちは綺麗な基本が身につくまで、ひたすら同じ動作を繰り返させていました。

繰り返しますが小学生の間は、心肺機能も筋力も未発達な段階です。長時間による同じ動作の繰り返しのような稽古は注意が必要です。

次に高学年ですが、「即座の習得」をどんどん体感させるために錬成会や試合を取り入れていきましょう。

「小学生にその技はまだ早い」などと言わずに、新しい技にチャレンジする子がいたら褒めてあげましょう。

また高学年で精神的に成長した子には、積極的にリーダーシップを発揮させる機会を与えましょう。

この時期にする「下の子達の見本になるように自分を律する」行動や「号令をかけてチームを引っ張る」体験は、将来の人間形成に役立つ貴重な経験です。

おわりに

ここまで読んでいただきありがとうございます。

教育論になると思いが溢れて、まだまだ書き足りない事がたくさんありますが、今回はここで締めようと思います。

ご質問や、ご意見があればInstagramもやっていますので、是非DMを下さい。出来るだけ丁寧に対応しようと思います。

一緒に少しでも子供達にとって良い剣道環境を作りましょう。

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