剣道をやっているお子さんに解説して下さい

保護者、指導者

1 剣道は何を目指すのか

 剣道を習わせているお子さんを持つ親へ向けて書きます。

 先ず結論から言います。

 剣道を通じて何を目指すべきか、それは

 尊敬される人になること

です。

 大会に優勝する為とか、礼儀正しい人になる為とかは間違いではありませんが、それらは通過点にすぎません。

2 先ず自分に勝つ(克己心)

 寒い日も、暑い日も、仕事や家事でくたくたな日も、子供が行きたくないと我がままをいう日もいつも道場へ送迎してくれているあなたは凄いです。

 お子さんが剣道を続けていけるのは、ご両親が稼いだお金で月謝や防具代、竹刀代、試合や遠征にかかる費用を子供の成長のためだと、あなたが支払ってくれているからです。

 また練習相手、指導してくれる先生、練習が出来る道場や体育館が整っているから剣道が出来ます。

 こういった当たり前と思いがちの事が、実は当たり前ではないと気付ける子は必ず強くなります。

 逆にこういう事に気付ける人間に成長する為に剣道があります。

 この「気付き」にできるだけ早く気付ける子は、剣道が格段に強くなります。

 なぜなら剣道は対人競技ですので、いくら振りや体の動きが早くなっても、打つべき機会でない時に打っても強い相手には当たりません。

 相手の気持ちを感じるには「客観的な視点」がとても大切です。

 「相手の事を考える」には、自分に甘えがある内は難しいでしょう。

 寒い朝なかなか布団から出たくない。今日は練習行きたくない。宿題するのめんどくさい。

 そういう自分の弱い気持ちと人間はいつも戦っています。

 私も自分に甘いので、よく負けていました(笑)

 しかし剣道の本質である「持った竹刀を刀だと思え」という教えは、自分の弱い心を斬る事も含まれているのです。

 アクションプランとして、お子さんの戦うべき弱い心を話しあって見つけてみましょう。

 「言われなくても宿題をする。」でも「練習を行くのに文句を言わない。」でも小さな事でかまいません。

 その弱い心に勝った日はカレンダーに○を、負けた日は✖️を付けていきましょう。

 自分に打ち勝つ心を「克己心」(こっきしん)と言います。

 カレンダーが○で埋め尽くされるようになれば、自分をコントロール出来る人間に成長しています。

 注意点として、✖️が続いたとしても決して自分は意思が弱い人間だと自分を責める事はやめて下さい。そんな真面目な行動をしている次点で素晴らしい家庭環境ですので心配いりません。

 大事な事は継続する事ですので、気楽に続けましょう。

3 なぜ尊敬される人を目指すのか

 自分に負けなくなれば、相手を思いやる余裕が出来てそれが礼儀という目に見える形で表れたり、試合で相手の思考が分かる人間に成長していきます。

 そうすれば大きな大会でも優勝したりするようになります。

 しかしそれが剣道のゴールではありません。

 人間は誰でもいつか寿命がきます。

 その時にいくら資産を持っていようが、いくら名声を集めていようが、いくら高い地位にいようが寿命が尽きてしまえばそれらは意味を持ちません。

 それよりも自分の意思を伝承してくれる人がいれば、自分がたとえいなくなっても生きた価値はあるのです。

 しかし、私はこんな考えを持っている、お前この考え方を引き継いでくれ、と誰かにお願いしても他人の価値観は変わりませんので、あなたの意思は伝承されません。

 あなたはどんな人をみた時に感動しますか?

 その人は、自分の欲を超えて、他人の為に何か出来る人ではないでしょうか。

 歴史上の人物でいまだに影響力を持っている人は必ずそういった人です。

 別にそんな大それた人間にならなくてもいいのですが、お子さんが将来尊敬される人間になれば周りに影響を与え、周りの人の行動が変わり、価値観が変わっていきます。

 自分と同じ価値観や、意思を受け継いだ人がいれば、極端な話し自分自身はいなくなっても生きた価値はあるのです。

 だから剣道は高齢者のおじいちゃんでも、出来た人間を目指し一生懸命続けている方が多いのでしょうね。

 それほど素晴らしい剣道を選択したあなたのお子さんを誇りに思って下さい。

 そして試合の勝ち負けで終わるのではなく、周囲の人に影響を与えられる人間に成長するよう、是非大人になっても剣道を続けて欲しいと願っています。

 

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