指導者になるあなたへ

保護者、指導者

剣道経験者だと子供を通わせている道場などから指導のお手伝いをお願いされる事があると思います。

これまで教えてもらう立場だったのに、突然教える側になる事に戸惑う人もいるでしょう。

しかしあなたの人生において「指導」の経験はとても大切です。それはあなた自身の人としての成長に繋がるからです。

指導とは結論「教育」です。「教える」だけではなく、「育てる」必要もあります。

間違っても「あんなに教えてやってるのに、全然上手くならない。」なんて生徒の愚痴を言う指導者にはなって欲しくありません。

それは指導者の指導力不足だと反省すべき事だと思います。

指導力が向上すれば、剣道指導だけでなく、部下の指導や子育てにも役立ちます。

指導者になった時や今後なるかもしれない方に少しでも役に立つようにこの記事を書きましたので、気楽に読んで下さい。

目指すべき目標(ゴール)は何か

子供たちに剣道を指導する際のゴールは、『剣道を好きになってもらう事』だと考えています。

みなさんご存知のとおり、剣道は人間形成のためにあります。つまり社会に役立つ為に、人として成長するためにあるのです。それが結局自分の幸せにも直結するからです。

人としての成長は学生時代だけでしょうか。

社会に出て様々な壁を乗り越えていく時も。

結婚して夫婦で色々な困難を乗り越えていく時も。

子供を育てる難しさに直面した時も。

社会に貢献する人物とは、どんな人生のステージでも人として成長し続ける必要があります。

そのためには、剣道を生涯続けていく必要があります。忙しくて剣道が出来ない時期も当然あるでしょう。僕も数年剣道を辞めていた時期がありましたが、リバ剣を果たしました。

どんな競技もそうですが、剣道自体を好きでなければ続きません。

勝利至上主義は行き過ぎですが、能力を向上させ、試合に勝つ喜びを教える事も指導者の役目です。

中学、高校そして大学と進学した際に剣道を続けていけるように礼儀や基礎を仕込む事も当然指導者の務めです。

試合で勝つ人も、あまり勝てない人も、継続した努力が報われる環境を指導者が整えてあげたいものです。

道場主の価値観を尊重する

子供たちから「先生によって言ってる事が違うから何が正しいか分からない。」という声を聞いたことがありませんか。これは道場あるあるの一つだと思います。

単なる技術的な話であれば、どれも正しいから自分がやり易い方を選ぶように子供たちや保護者に説明しておけば問題ないでしょう。

たまに指導方針の違いから、先生同士でいがみ合っている道場がありますが、子供たちからしたらどちらの言う事を信じればいいのか混乱してしまいます。

基本的には、指導のお手伝いをするのであれば道場主の価値観を尊重しましょう。

指導方針で疑問に思うところがあれば質問をして、道場主の価値観を出来るだけ理解することが大切です。

あまりにもあなたの価値観と違いすぎるのであれば、勇気をもって指導のお手伝いを断ったり、道場を変える事も選択肢の一つだと思います。

子供たちを理解する

剣道指導で主役は子供達です。まずは子供たちを理解する事がとても大切です。

剣道を始めたばかりの時期に染み付いた癖は中々抜けません。

子供たちの為にもこの時期にしっかりとした基礎をある程度身につけさせましょう。

この時期は、興味を失わせない工夫ももちろん大切ですが、『剣道の基本的な礼儀』『体の運用の基本』を身につける必要があります。

また子供たちは競う事が大好きです。

負けた子が可哀想だからといって競争から逃げていては健全な成長を妨げる事になります。

例えば面紐をきちんと結ぶスピードや道場の雑巾掛けを競わせるだけでも、子供たちは目を輝かせてくれます。

次に子供たちの理解の仕方についてです。

いくら頑張って指導しても、子供たちが理解していなけば意味がありません。

子供たちは、ビジュアルやイメージなどの説明の方が理解できる「感覚派」と、論理的な説明の方が納得できる「論理派」がいます。

全体に指導する場合は、身振り手振りや擬音語、または見本など「感覚派」が理解できる要素と、「論理派」が理解できるような説明を両方取り入れた方がいいと思います。

もちろん小学生でも理解できる言葉を選びましょう。

それと聞く方の集中力は短いという事も頭に入れておきましょう。

せっかく集中して稽古しているのに、稽古を中断してダラダラ説明することは避けた方が無難です。

個人的には説明する時は、30秒から1分以内に言いたい事は1つに絞るように心がけています。

発言力を上げる 〜その1

同じ事を言っているのに、人によって影響力は違います。

これまで積み上げてきた信頼や実績などが違うからです。

子供や保護者は、指導者の発言よりも行動を見ています。

口だけ「礼儀が大事だ」と言っても、日頃の行動が伴っていない指導者の発言に力はありません。

無意識な行動にほどあなたの本心が出たりします。周囲はそんな行動を見逃しません。

まず磨くべきは、あなたの価値観です。

心の底から「子供たちのために」と思っている指導者と「試合でいい結果を残して自分が認められたい」と思っている指導者の行動は違ってきます。

子供たちの成長のために、たくさん勉強して、たくさん思考して、たくさん実践しましょう。

始めから完璧な指導者はいません。子供たちのために日々努力している指導者が「すまん、この前教えた打ち方よりも、この方法の方が良いと思う。」とやり方を変えたところで不満を持つ人はいません。

むしろ下手に実績があっても、子供たちの気持ちを無視した一方的な指導をする指導者には子供も保護者もついて行きたくありません。

発言力を上げる 〜その2

発言力を上げるテクニックとして「叱る」があります。

今は昔ほど厳しい先生は減りました。

僕も恐怖心で言う事を聞かせるやり方は時代遅れだと思います。

基本は、相手の存在を認める方法を取るよう心がけています。

しかし、子供たちが他の子供に危険が及ぶ行動や、不遜な態度を取った時は、きちんと叱らないといけません。

叱るべき時に叱る事が出来れば、保護者達からの信頼度も上がり、子供たちに対して適度な緊張感を与える事も出来ます。結果発言力が上がります。

基本的には楽しい雰囲気を作りつつも、どこか神聖な雰囲気があるのが道場だと思います。

礼儀などのしつけの部分を期待している保護者も少なくありません。礼儀の無い行動を取る子を放っておけば、真剣に稽古したい子の邪魔になってしまうでしょう。

当然日頃から相手を「認める」言動をせずに「叱る」だけしても効果は薄いと思います。

客観的に自分を見る

指導者が注意しなければいけない事は、客観性を失う事です。

道場においてこんな話を耳にします。

メインの先生は高段者で、発言力もある。サブで手伝ってくれている指導者は高段者ではないがボランティアでいつも手伝ってくれている。

しかし、メインの先生がいない時にサブの先生がメインの先生を否定するような指導をする。

サブの先生に悪気は無いが、「私の教えの方が正しい」と思い込んでいるようだ。

でも保護者からするとメインの先生の考え方と違う事は正直我が子に教えて欲しく無いものの、ボランティアで教えてくれている方に文句も言えない状態。

こんな事例よくある話だと思います。

指導には、子供たちが素直に言う事を聞いてくれる事で承認欲求が満たされ、指導にハマって周りが見えなくなる危険性が常にあります。

指導者は、常に客観的に自分の指導を見つめて、本当に子供たちのためになっているか自問自答する必要があります。

おわりに

偉そうに書きましたが、僕自身も指導者として道半ばです。

それでもこれから指導者になる方や指導者になったばかりの方に少しでもヒントになればいいなと思い書いてみました。

子供達の将来にいい影響を与える可能性もあれば、悪い影響を与える可能性もあるのが指導者です。

でも子供たちもバカではありません。大人が思っている以上に子供たちは大人の言動を見ています。

ちょっとぐらい間違った指導をしたところで、子供たちはたくましく育っていきます。

よく指導者の方が「子供たちに育ててもらった」と言うセリフを聞きますが、あれが真実だと思います。

ただし、そのセリフを言えるのは子供たちの成長を心から願い、指導に全身全霊で取り組み続けた結果、気づいたら自分自身が人として成長していた者だけな気がします。

僕たちもいつかそんな指導者になりたいですね。いや一緒にそんな指導者になりましょう(笑)

人としての成長に興味がある方は、是非この記事↓も読んでみて下さい。

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