見取り稽古 どこを見たらいい?

保護者、指導者

今はYouTubeなどのSNSが普及した事もあって誰でも剣道の試合や稽古を手軽に見ることが出来ます。

剣道を始めたばかりの方も剣道歴の長い方も常に効果の高い稽古法として取り入れるべきなのが見取り稽古です。

しかし初めは見取り稽古といってもどこを見ればいいのか分からないと思います。

そんなあなたに向けてこの記事を書いていこうと思います。

見取り稽古の種類

見取り稽古といっても様々な方法があります。

・道場の稽古や試合会場で直接見る

・YouTubeなどの動画サイトで見る

・自分の稽古や他人の稽古を動画撮影して見直す

など色々あります。

それぞれに良い点があります。

臨場感や空気感を含めて見るのであればやはり直接見るのが一番です。感動する試合などを見る事で日々の稽古へのやる気も高まります。

しかしレベルの高い選手の試合や稽古を見る機会は中々ありません。そんな時は動画サイトを活用すれば手軽に見る事が出来ます。上達しようと願えば、その材料が手軽に揃う本当に便利な世の中になりました。さらにありがたい事に動画だとトップレベルの選手の速い動きをスロー再生で分析する事が出来る点です。これはテーマを持って見取り稽古をしている方にとって非常にためになります。

さらに理想の選手と今の自分を比較しようと思えば、動画撮影をして自分自身の稽古や試合を客観的に見る事も可能です。

他人からのアドバイスは時として間違って伝わる事があります。例えば「もっと早く」「もう少し間合いを詰める」などの曖昧な表現は人によって感じ方は違います。

動画で客観的に見る事はトップアスリートも行う稽古法ですのでとてもオススメします。

自分の興味に従おう

さて、見取り稽古にも様々な種類がある事を知りました。次はどういった視点で見るべきかですが、

結論から言います

自分の(お子さんの)今興味や疑問に思っているテーマに従って見よう

です。

どんなスポーツや武道でも段階というものがあります。

いきなり高いレベルを求めても身に付くわけでもありません。

だからといって「今はこれをやれ」と押し付けられても面白くありませんし、面白くなければ効果は半減します。それは時間の無駄です。

自ら主体的にやった事はたとえ失敗しても次に活かせますので長い視点で見ると失敗とはなりません。

是非今見たいと思う選手や自分が疑問に思っている視点で見てみましょう。

自らの興味に従って見る見取り稽古は面白いので、気づけば数をこなすことになります。

センスとは多くの情報の中からこれが良いと選択できる事です。つまり数をこなす必要があるのです。そのためには尚更他人から押し付けられるテーマよりも自分の興味に従って見る方が継続できるに決まっています。

先ずは全体的に

そうはいっても見取り稽古にどんな視点があるかを参考までに書きますので、ご自身のレベルや現在の興味によって一つの選択肢にしてもらえればと思います。

見取り稽古の視点、先ずは全体を見ることです。

剣道を始めたばかりでどこを見ていいか分からない方は特に固く考えずに試合を全体的に見る事をオススメします。

見ていくうちに「この選手の剣道カッコいいな」「この選手は声が小さいからまだまだだな」等自分なりに感じる点が出てくると思います。

その内理想の剣士が見つかると思います。理想の剣士が見つかればその人の試合をたくさん見て日々の稽古で技だけでなく礼儀作法なども含めて真似をしてみましょう。

次は体の動きを部分的に

上手い人の真似をしてみるとイメージ通り自分の身体を動かす事が難しい事に気づくと思います。

そんな段階になってきたら次なる見取り稽古は体の動きを部分的に見ることをオススメします。

例えば足の幅であったり、手の動かし方の角度だったり、打つ時の背中の角度だったり、部分的に見る事で具体的に自分との差が分かります。

是非誰かに協力してもらって自分の稽古を動画撮影してもらいましょう。

スローにしたり、打突の瞬間を停止してみたりすると以外な違いに気づくと思います。

そうすると次の稽古の課題が出来ますので日々の稽古が楽しくなります。

上達してきたら技を中心に

さらに上達してきたら、理想の選手の技に注目して見ましょう。

その技のスピード、出すタイミング、出す前にどんな攻めをしているか。

見るポイントはたくさんあります。スロー再生も駆使して分析しましょう。

高段者になると技を出す前の攻防がとても大切になってくるため、初心者が技に走る事を注意してくる先生もいらっしゃいます。

しかし私は学生の頃は勝負にこだわったり、技に走る事も必要だと思います。先ずは自分の興味がある事を伸ばした方がいいからです。

※ただ注意して頂きたいのは先生のおっしゃられる事も間違いでは無いので喧嘩することなく知識としては技のその先がある事も知っておいた方がいいでしょう。

※形稽古を軽んじている訳でもありません。昔の剣術稽古は形稽古が中心でした。それほど「形」には正しい技術が集約されているからです。

最初に戻って全体を観る

ある程度レベルが上がってきたらあなたの見取り稽古の視点は「見る」から「観る」に進化している事でしょう。

初心に帰って全体的な視点で見取り稽古をしてみましょう。

今まで気づかなかった試合展開や心理面までもが観えてくると思います。

最初の試合展開では小手ばかり狙っておいて、相手の意識を手元に集めておいて、後半に小手面を決めたとか

絶対に下がらずに前に前に攻めて相手の選手が心理的に追い込まれていき、追い詰められた相手が思わず面を打たされたところを出頭面に乗ったとか

そんな事が観えるようになるとさらに剣道が楽しくなってきます。

少年剣士の親たちへ

お子さんが剣道をしている方で親が未経験の方は「間違った事を教えたく無い」と思い、どうアドバイスしていいものかと悩む方もいると思います。

確かに未経験者の親御さんが自分のお子さんに間違ったアドバイスばかりして子供の成長にブレーキをかけている事はよくあります。

その他にも「親が経験者の方が上手になるのでは」と心配になる事もあると思います。悩みはつきません。

しかし大丈夫です。一番大切な事はお子さんに興味を持つ事です。

先ほど書いた悩みを持つ親御さんは十分お子さんに関心があり、お子さんの立場になって考える視点も持っているからこその悩みです。

道場への送り迎えだけしている親御さんの子よりも、短時間でもお子さんの稽古を見守って子供の成長に気づける親御さんの子供の方が統計的に成長が速いように思います。

どうぞそのままお子さんの興味関心に寄り添ってあげて下さい。もし具体的にお子さんに質問されたらこのブログを活用して一緒に動画を見てみてはどうでしょう。

反対に親が経験者の方は要注意です。

子供にあなたの正解を押し付けて子供の興味を削いでしまっていませんか。

「なんであんな事も出来ないんだ」「あんな弱い相手にウチの子が負けるなんて許せない」

お気持ちは十分分かります。

でも落ち着いて下さい。

あなたの今持っている剣道の正解は、1日で身についたものですか。

試行錯誤を繰り返し辿りついた技術なはずです。

心配しなくてもあなたのお子さんはあなたを超える逸材です。

決して頭ごなしに結論を押し付ける事なく、お子さんの今持っている興味関心に寄り添ってあげて下さい。

お子さんが本当に剣道に興味を持って、成長に貪欲になった時、あなたに質問できる親でいてあげて下さい。

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