「攻め」に悩んでいるあなたへ

経験者

はじめに

「なんで自分から攻めないんだ。」

「打たれてもいいから自分から攻めろ。」

こんな指摘を受けた方、多いのではないでしょうか。

そう言われても格上の相手の間合いに入る事がどれだけ恐ろしいか痛いほど分かります。

経験を積むとこれ以上間合いに入ると打たれると分かってくるものです。

打たれる事を恐れずに勇気を持って打ち込め!みたいな精神論で解決したら苦労しませんよね。

そんなあなたに今回は4つの攻め方をご提案します。

明日からの稽古で試してみて、通用しそうな攻め方を自分で見つける事で、今より自信を持って試合に望めるようになります。

攻めとは?

そもそも「攻め」とは、一本を取るために、相手の心や体を動かして隙を作る行為です。

「攻め」は奥が深く、打って攻めたり(連続技など)、竹刀操作で攻めたり、体で攻めたり、誘ったり、高段者になると気で攻めたりと色々あります。

もっと言うと、相手の攻撃を完璧に防御する事で相手に与える絶望感も立派な攻めだと思います。

しかし、全部を説明してもキリがないし、あなたの攻めに対する悩みは解決しませんよね。

今回の「攻め」は、一足一刀の間合いに相手より先に入る事でプレッシャーをかけることに限定します。

そして触刃の間(竹刀の先端同士が触れ合う間合い)から一足一刀の間合いへの入り方、つまり攻め足を4つ紹介するということにします。

ゆっくり入る

僕が好んでやる攻め方です。この攻め方のメリットは相手に打つ気配を悟らせない事です。

やり方ですが、左足は打突するまでしっかりと床を捉えておきます。左足で床を押すように腰ごと体を前に出して行きます。この時重心はだんだん前にかかってきますが、右足は床を滑らせていき着地はさせません。

早く動いたり、手から動き始めると相手に悟られるので、上半身は構えたまま、すーっと入るのがコツです。

手元が打突の動きに入るのは、重心が完全に前になって、踏み込む直前です。

余裕が出来たら面を打つ直前に剣先を一度素早く少しだけ下げるとより面が決まりやすくなります。

このやり方の難しい点は、足元はゆっくり前に出ているのに、手元だけ素早く剣先を下げるという別々の動きをする点です。始めは足だけ練習してみましょう。

素早く入る

動きの速い選手がよくやります。遠間や触刃の間から継ぎ足をして一歩入った瞬間に打ち込むやり方です。

出頭技を狙っている相手にやると、危険ですので、使うタイミングや竹刀操作も工夫してみましょう。

やり方のコツは、左足の引き付けを小さくする事です。

一歩入る際、右足を出した分よりも、左足の引き付けを小さくする事でより速く打突に移行できます。

慣れてきたら、一歩入ってすぐ打つのではなく、ほんの一瞬溜めを作ってから打つ事も試してみて下さい。

小刻みに入る

小刻みに間合いを詰める方法です。

足攻めを小さく速く小刻みにする事で、相手はいつ打ってくるか予測しづらくなります。

逆にこちらは小さく足を動かし続けているので、打突にしろ避けるにしろ次の動作に移りやすくなります。

小刻みに攻めて相手にプレッシャーをかけて、耐えきれなくなった相手が打突してきた所を出小手を打つ等はいかがでしょう。

ぽんっと入る

触刃の間から一足一刀の間合いまで超低空飛行のジャンプのような感じで「ぽん」っと入り、すぐさま打突するやり方です。

意外に思われるかもしれませんが、これが結構効きます。(笑)

剣道は一眼二足三丹四力と言われるくらい、「眼」が大事だとされています。

経験を積めば積むほど、膨大なデータが蓄積されているため頭で考えなくても対応できるようになっていきます。予測力が眼です。

そんな強者にいつも通りの攻め方をしても、すぐに対応されてしまいます。

そこで思い切って「ぽん」と間合いに入り、入った途端打ち込んでみて下さい。

高段者の方に意外と効いたりします。

理由は、見た事のない行動をする事で脳が一瞬思考してしまうからです。

一瞬の隙を争う剣道です。無意識で動けるようにならなくては中々一本は取れません。

ただし、この入り方は乱発すると見破られます。

開始一発目や、試合が膠着状態になった時にどうでしょう。

おわりに

野球でどんな速い球を投げるピッチャーも、全てど真ん中ストレートだけ投げていては、必ず打たれます。しかしチェンジアップやカーブ、わざとボール球を投げたりする事でバッターは的を絞れなくなり、その結果得意なストレートが活きてきます。

剣道も同じでいつも同じタイミングで打ってくる相手ほどやりやすい相手はいません。

逆に経験は少なくても、トリッキーな打ち方をしてくる素人って意外とてこずったりした経験ありませんか?

それ程予測できないという事は相手は警戒せざるを得ないのです。

今回ご紹介した攻め足4種類に加えて、竹刀での攻めも組み合わせると攻め方のバリエーションがぐんと増えて、今より自信をもって相手より先に間合いに入りやすくなると思います。

攻めについて2つ注意点があります。

1つ目は全身全霊で攻め込んで下さい。

おいおい結局精神論かよと思ったそこのあなた。その通りです。

どんなテクニックよりも、全身全霊、全てを投げ打っての攻めに勝るものは無いと思っています。

至誠にして動かざる者は、未だこれ有らざるなり。

吉田松蔭の有名な教えです。剣道にも通じる言葉だと思います。

2つ目は打突の速度自体は常に速くする努力を怠らないで下さい。

受ける側の視点で考えてみて下さい。打突が遅い相手がどんな間合いの詰め方をしてきても怖くありませんよね?

打突の速度を上げる工夫は、この記事も参考にしてみて下さい。

コメント

タイトルとURLをコピーしました