日常こそライバルと差が開く時間帯
一生懸命稽古しているけど、中々ライバルに勝てないと思っているあなた。
道場での稽古時間だけが剣道修行だと思っていませんか?
大人の剣道家であれば誰しも一度は聞いたことのある言葉で「直心是道場」という禅語があります。
簡単に言えば「素直な心と向上心があれば日常の至るところが道場だよ」という意味です。
僕は人格が出来上がっていないので、剣道家として向上しようと思ってはいますが、ついつい他人の悪口を言ったり、自分に甘えたりしてしまいます。
しかし、誰もが気を抜きがちな日常こそ、ライバルと差が開くチャンスなのです。
剣道で人より強くなりたいと思っている人は、当然稽古以外の時間に筋トレや素振り等のトレーニングをしていると思います。
今回はそういったトレーニング以外で、日常で出来る剣道修行を敢えて取り上げてみました。
体の隅々まで意識を巡らせる
近年「マインドフルネス」や「瞑想」など、自分の内部に意識を向けて、今この瞬間に集中する事が流行しています。
剣道界では「黙想」という形で昔から行われていました。
ここでは余り難しく考えずに、誰でも出来る方法を提案します。
それは、日常生活で動作をする時に、自分の動く部位に意識を向けるという方法です。
なぜそんな方法を提案するかというと、自分の身体のクオリティを高めるためです。
例えば、「トイレのドアを開ける」とか「玄関で靴を履く」とか「電車で吊り革を持つ」など日常で行う動作を意識した事はありますか?
ドアを開ける動作一つでも、どのくらいの距離だとドアノブを回しやすい、このくらいの力加減でドアが開く、ドアはどのくらい開ければ自分の体が入る・・・など実はとても繊細な作業を無意識で行なっているのです。
そんな日常での動作は、誰もが小さい頃から沢山の試行錯誤という名の訓練により、無意識で出来るようになったのです。
動作の時に身体に意識を向けてみると色々な発見があると思います。
そして意識を向けることに慣れてきたら、利き腕じゃない手を使ってみたり、いつも以上に力を入れてみたり、逆に力を抜いてみたり、パターン化した動きとは別の動きを敢えて試してみましょう。
そうする事で僕たちの身体は、より繊細に動かせる事ができます。意識して、日頃やらない動作をする事で新しい神経回路が形成されます。
意識して身体のクオリティを高めることは、自分の身体をより自由に動かせることになります。
思った通りに身体を動かす
この能力は、剣道だけでなくスポーツ全般に非常に重要な能力です。
(多くの人が筋肉を大きくするとか、瞬発力とかに目がいきがちですが。)
丹田呼吸を意識する
剣道の上級者は、皆さん試合や立会い中では丹田呼吸をしています。それも無意識で。
丹田呼吸じゃないと、あれだけ早い動きは出来ません。
その秘密は、丹田(おへその少し下)と言われる下っ腹の空気圧を高めている状態です。
そうする事で下半身と上半身の動きが無駄なく伝わるからです。
試しに「お腹を凹ませた状態」と「下っ腹を空気圧で膨らました状態」で反復横跳びの実験をやってみて下さい。
丹田が充実している時の方が、体が安定して、回数が多くなっていると思います。
子供の時は、肺呼吸。肩で呼吸している感覚。
成長すると腹式呼吸。お腹で呼吸する感覚。
そして僕たち剣道家は、丹田呼吸を身につけたいものですね。
おわりに
今回の日常でもできる剣道修行は、ほんのわずかな例に過ぎません。
是非自分なりの発想で、実験してみて下さい。
僕たちは、自分の感情や身体を以外と思い通りにコントロールできているようで、コントロールできていません。
例えば、日頃よく使う指と違って、脇腹は余り意識する事がなく、気づいたら贅肉が付いてしまっています。
自分の感情や思考、筋肉の動きや、体の細部を客観的に感じてみる事で、自分の事を意外と理解していなかった事に気づくと思います。
そんな自分の再発見から始めてみるのも剣道修行ではないでしょうか。
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