これまで礼儀作法、すり足、竹刀の握り方と構え、正面素振り(前進後退の正面素振り)、声を出しての面打ちまで解説してきました。
今回は以前解説した正面素振り以外の素振りを解説します。
素振りは工夫次第で何パターンも存在しますが、今回解説する素振りはその中でも初心者の方にこれだけはマスターして欲しいという素振りに絞っています。
座って素振り
・目的 腸腰筋を鍛えて運動全体のスピードアップ
腸腰筋と聞いてもどこの筋肉かピンとこないと思います。簡単に説明すると上半身と下半身を繋ぐお腹付近のインナーマッスルです。
いくら足の筋肉を鍛えても、いくら腕の筋肉を鍛えても下半身の力が上手く上半身に伝わらなければ俊敏に動いたり、力強い打突は生まれません。
これはどんな競技にも言える事です。
・やり方
正座か椅子に座って素振りをします。竹刀の振り方は以前学んだ正面素振りと同じです。
足首が柔らかい方は蹲踞の状態(素振りの際、踵は床に付ける)で振っても効果的です。
下半身が使えない状態での素振りは思ったより早く振れないと思います。
土台となる足が使えないからです。
座った状態で竹刀を早く振るにはお腹付近に自然と力が入ります。
上下素振り
・目的
肩関節の可動域を広げて、肘と手首を伸ばす事を覚える
・やり方
基本的には振り下ろし方以外、正面素振りと同じです。
振り下ろした際に剣先が自分の膝くらいまで振り下ろします。
ポイントは「竹刀が常に正中線を通っているか」と振り下ろした際に「左肘と左手首が伸びているか」を意識しましょう。
道場によっては振り上げた際、剣先がおしりに付くように指導するところもあります。
これも肩関節の可動域を広げたり、広背筋の筋力アップを狙ってのことだと思います。
しかし必要以上に振り上げると、左手の小指と薬指に隙間を開けるクセがつく場合もありますので、ここでは正面素振りと同じ振り上げ方で説明しています。
早素振り(跳躍素振り)
・目的
力の抜き加減を覚えてすり足と竹刀操作のスピードアップ
・やり方
正面素振りでは前に出て一回振り、後ろに下がって一回振っていました。
早素振りの場合は、まず竹刀を振り上げた状態からスタートします。
そして前に出て振り下ろし、後ろに下がってまた振り上げるの繰り返しです。
経験者の方は学生時代に早素振りを腕が上がらなくなるほど何百本も降らされた経験があるのではないでしょうか。
その名のとおり他の素振りに比べて早い素振りになり、初心者には結構ハードな素振りです。
しかし剣道の上達にはとても大切な素振りの一つです。
いきなり早く降ろうとせず、前進後退正面素振りで覚えた振り上げは左拳が頭上まで上がり、振り下ろした際は相手のあごまで斬り下ろす事を意識しましょう。
いくらスピードが上がっても変なクセが付いては修正が大変です。
また最初は足さばきがとても難しいと思います。
基本を思い出して左足のつま先が、右足の踵を超えないようにしましょう。
跳躍素振りとも言いますが、ジャンプしているように見えるだけで、理想はすり足での前進後退が早くて跳んでいるように見えることだと思います。
早素振り(跳躍素振り)をもっと丁寧に解説したオススメ動画です。↓
おわりに
素振りは他にも
・左右素振り
・股割り素振り
・三挙動正面素振り
・踏み込み足の素振り
など様々な素振りがあります。
色々試してみる事も大切ですが、正面素振りの他に今回紹介した3種類の素振りの精度を上げる事をオススメします。
上達の段階に合わせて他の素振りもマスターしていきましょう。
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