試合に向けた稽古を始めて
昨年末に国体出場を決意したが、準備期間が結構短い。
調べてみると僕の県では毎年春に選考会が行われているようだ。
リバ剣の僕はこれまで昇段審査の立会いに全振りした稽古をしてきた。
試合にあまり意識が向いていなかった僕は一度もこの手の予選に出てこなかった。
本番の雰囲気がイメージできない。少し過去を後悔する。
しかし後悔しても仕方がない。とにかく稽古だ。
あれ?意外と動けるかも・・
年末年始ということもあり、高校時代の同級生との稽古や母校での初稽古、連盟主催の初稽古など稽古の機会が多かった。
国体予選に出ると決意を固めた僕にとっては、本当にありがたい。
割と早い段階から筋トレなどの基礎体力を向上させるトレーニングを続けていたせいか、意外と体が動く。
試合を意識したことでフォームが若干崩れたり、攻め合いで溜めがなくなったりしたものの、自分の想像よりも体がキレた。
決意段階の時に固めた3つの基本戦略の内の1つ、スピード。
これが少し目処が立った気がした。
意外とイケるかも。
これがこの段階での正直な印象だった。
完膚なきまでの敗北
調子に乗ると必ずろくなことがないことは、これまでの人生経験から学んでいる。
体の状態が良いとはいえ、調子に乗ったり油断せずにこのままいこうと思っていた矢先、「全然まだまだだった。正直予選会で勝ち抜くのは難しいのでは。」と思えるほどの敗北を味わう機会があった。
それは学生時代の後輩と久しぶりに稽古する機会でのことだ。
彼は僕の1年後輩にあたるが、僕なんかより何年も先に七段に合格している。正直格上だ。
ただこちらとしても最近の稽古で体がキレている。スピードや手数で何とかいい勝負に持ち込もうと考えていた。
ところがいざその後輩と剣を交えるとスピードが通じない。
出小手、抜き胴、面擦り上げ面。
面白いくらい打たれる。
スピードで圧倒しようとしていた僕は、冷静さを欠いた。
スピードが足りないと思い、稽古の中で更に打突のスピードを上げるように意識した。
それでも見事に返された。
40代では割と体が動く方だという自信はあっただけにショックだった。
やはり剣道は運動能力だけではないことを改めて痛感した。
壁を越えるために
後輩に手も足も出なかったが、落ち込んでもいられない。
反省点を洗い出し、本番までに急遽改善しなくては。
本番前に改善点を多く教えてくれた後輩に感謝したい。
次回いい勝負になるように改善すべきところを冷静にピックアップしてみる。
反省点その1。スピードを過信して攻めが不足していた。
攻めは相手の心や体勢を不十分にすることだ。しかし僕は攻めた気になっていただけで、相手は何も動じていなかった気がする。
相手が動じない攻めは、ただ自分から距離を詰めただけに過ぎない。
次回は相手の心や体勢を動かす意識で攻めてみようと思う。
反省点その2。打った後体が止まっていた。
どうしても打突のスピードをあげようと上半身に頼った打ちになっていた。
下半身から始動していないため、打突後に居着いてしまう。
そこを擦り上げ面などの返し技をもらってしまった。
この課題は手から打つことを止めて、足から打突できるように意識する。
それと打ち込み稽古などで自然と体全体で打てるように稽古しようと思う。
反省点その3。冷静な判断ができていなかった。
冷静さを欠いて自分勝手な打突ばかりしていた。
これは3つの基本戦略の1つである、『相手の予想外の動きをする』が全く出来ていなかったことに繋がる。
相手の予想を外すような攻撃をするためには、冷静に相手の狙いや動作を感じ取る必要がある。
では戦いの中、冷静な判断をするにはどうすればいいか。それは腹をくくること。この一言に尽きる。
打たれたらどうしよう。そんな気持ちがある内は捨て切った打突はおろか、攻め合いを制することができるわけがない。
この3つをまとめると、次回の稽古で意識することは、『腹をくくって、相手を動かすまで攻め、捨て切って打突する。』だ。
あれ?
これって、これまで昇段審査に向けた稽古をしていた時に意識していたことと同じではないか。
試合用の剣道と、昇段審査用の剣道を勝手に区別していた自分が恥ずかしい。
よし。次回からはこれまで稽古してきたことを信じて稽古に臨んでみよう。そう思った。
つづく。
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